グロテスクな描写はいらんぜよ

殺戮にいたる病 (講談社文庫)

殺戮にいたる病 (講談社文庫)

 続いては久しぶりに日本の作品でした。はっきり言うと『冷血』の後に読んだのがいけなかったのでしょう。もっと毛色の違うSFなんかを読んでいればクッションになって評価も変わったかもしれません。あの重厚な物語の後では、あまりにも薄っぺらく感じてしまいました。
 メインのトリックも読み始めてすぐに予想がついたので(本格好きではないのでトリックは二の次だったりする)、物語の方に重きを置いたのもこれまた間違い。かなりのシーンがトリックの目くらましのためのもので、刑事の部分なんてなくてもいいじゃんとまで思ってしまいました。あと、シリアルキラーものは外国作家のやつを読んでたらやたらと出てくるので、ちょっと食傷気味だったり。
 これだったら似たようなもので言うと、殊能将之の『ハサミ男』の方がもっとおもしろかったなぁ、という感想でした。