ニコラ・テスラ

 雨の中だらだらと『プレステージ』を見てきました。
 おもしろかったんだけど、あれだけ時間軸をいじっても大丈夫かなぁというちょっとした疑問が。原作を読んでたのでこれはこのあたりかと推測しながら見られたけれど、冒頭の数十分のめまぐるしい場面転換で置いて行かれたら一気に訳がわからなくなりそうだと思いましたね。
 予想通り、話自体はかなり原作のまま残してありました。原作ではボーデンやエンジャ(映画ではアンジャー)の子供たちの話まで出てくるのですが、そこはカットしてあくまで二人の奇術師をメインに据えています。だとしたら、気になっていたのはもちろんラストシーン。元のラストは持ってこれないので、違うものをこしらえなくてはいけません。
 そこで原作の設定を変更することで、あのラストにすることができたのでしょう。変更点はつまり『偶然を必然に』したこと(カッコ内は反転)。そして、ボーデンとエンジャの瞬間移動トリックもちゃんと伏線が張ってあったことは親切でしたね。その伏線は『中国人のマジシャン』と『』でしょう。前者は原作でもありましたが。
 とりあえず、原作でも映画でも考えると恐ろしいシーンがあってよかったですね。さすが世界幻想文学大賞といったところでしょうか。ただ、やはり公式サイトのあらすじを読むとミステリ色を押し出してしまっているので、そちらを期待すると拍子抜けというか裏切られたというか、そういう感想をもってしまうかもしれません。完全にSF作品なのでご注意をば。
 とりあえず、何を勘違いしたのか後ろに座っていたザ・イマドキのカップルさんは「意味わかんな〜い」と言ってました。素直に『パイレーツ・オブ・カリビアン ワールド・エンド』か『スパイダーマン3』を見ていれば良かったのにね(サムライミは微妙か)。